漫画がただで読めるアプリって最近多いですよね。
1日何話という感じで。
僕もそういうアプリを1つ利用させていただいているんですが「かもめチャンス」という漫画が今だけ全巻一気読みというキャンペーンをやっていたんですよね。
かもめチャンスは前に全巻読む機会があって、その時もなかなか面白い漫画だなと思ったのですが懐かしいので今回また読んでみたんです。
ストーリーも朧気でしたし。
読了の結果まあ面白い、この歳になるといい意味で捉え方が全く違った。
全20巻、今の漫画って長すぎるので幽遊白書然りこれくらいが丁度いいと感じますが、最後が少し駆け足で終わってしまうのが残念。(こちらも幽遊白書然り)
なんだかスポーツ漫画としての熱さもあるのですが自分自身の生き方を考えさせられる漫画でした。
どこが自分に刺さったのか解説していきたいと思います。
あらすじ
父子家庭の父親で、信用金庫勤めのサラリーマン更科二郎がとあるきっかけでロード自転車に乗るようになる。
信用金庫で渉外(外回り)を担当する更科二郎は、男手ひとつで娘のふくのを育てるサラリーマン。仕事では卑屈な態度を貫き、感情の読めない新入社員の小菅守に苛立ちを募らせ、ふくのを預ける幼稚園では担当教諭の綿矢真知子から親としての行き届かなさを非難される毎日に、人知れぬ鬱屈を抱えていた。
そんなある日、更科はふくのが保育園の大木に登ってしまったとの知らせを受け、箕輪章博の経営する自転車店からロードバイクを持ち出して駆け付ける。初めてのロードバイクはまともに漕ぐことすら難しかったが、ギアを掛け替えた途端、更科は渉外に使うママチャリとは全く異なる疾走感と爽快感を味わう。ロードバイクは仮組みの状態であったため、走行中に壊してしまい弁償することになるが、その額は140万円。娘を抱える一介のサラリーマンには重い負担であった。
Wikipedia/かもめチャンスより
少し補足するとうだつが上がらないサラリーマン+シングルファーザーの主人公更科が140万円のロードバイクを壊してしまい弁償の代わりに弁済の条件としてロードレースに出場することになります。
そういった状況下でも徐々にロードバイクに魅了され、その才能を開花させていくのです。
作者は玉井雪雄、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載された作品です。
かもめチャンスの魅力
①大人向けのスポーツ漫画、大人だから共感できること
前回読了したときはまあ面白いなという感想でしたが今回読み直すと主人公の気持ちに共感することが多い、正直この漫画主人公以外もキャラ設定がしっかりしていてどのキャラクターの気持ちもわかるんです。
この漫画はリチャード・バックによる小説『かもめのジョナサン』のストーリーに着想を得たようなのですが、主人公の更科は餌を摂るためではなく早く飛ぶという行為自体に価値を見出すかもめのジョナサンに否定的です。
人生の目的はパンのみにならずとスピードにかけるジョナサンが羨ましくも自分は守らなくてはいけないものがあり、その他烏合の衆を必死にやっている更科ならではなのですが・・・。
レース最中ジョナサンに問いかけるシーンはすごく考えさせられました。
周りから後ろ指を指されても気にせず、自分の信じる道を行くジョナサンを素晴らしいと思いつつ
うだつが上がらなくても、本当に自分がやりたいことでなくても、人生はパンのためにある訳じゃなくても烏合の衆でいることがどれだけ大変かを問う更科。
僕は独身なので家庭やしがらみは比較的背背負っていませんが、今この年齢になりそういう感情も理解できるようになったのはせいちょうかなと少し感慨深いです。
②すべてがリアル
社会的地位も常識もある立派な大人は間違っても警察沙汰になってはいけない。
警察に駆け込んでも立件できないギリギリのライン内でできるだけ相手に精神的ダメージを与える。玉井雪雄「かもめチャンス」 pic.twitter.com/q8AA7fgPnZ
— 既読装置 (@kidokusouchi) November 25, 2018
僕は漫画は必殺技や無茶苦茶設定も全然有派です。
正直面白ければ何でもいい。
でもこの漫画は徹底してリアル路線でしたね。
1つ1つ答えが出る場面で誰かが葛藤するシーンがあります。
何かをやるには何かを犠牲にしないといけない。そういった葛藤が丁寧に描かれている漫画です。
なので受難が多く読んでる方もフラストレーションが溜まるのですがレース描写でそのうっぷんを発散という感じです。
絵も好みなんですよね。
➂小菅守の成長に感動
かもめチャンスを思い出すやつ pic.twitter.com/KQnUXAKrgv
— Momo🍑🦭 (@Momo_mozarashi) March 29, 2021
あらすじで感情の読めない新入社員と紹介された小菅ですが、登場から最後まで徹底してコミュ障です。
ロードバイクでは突出した才能がありますが、チームプレーが一切できなかった小菅。
現世と関わる指一本の接地面、それこそが守の最適な他者との距離間。つまりロードに乗っている時が守にとっての収まる場所だったんじゃよ。
と育て親の住職は語っています。
そんな小菅がツールド北海道で仲間を信じ(上司である主人公更科)ラストスプリントに挑むシーンの更科のセリフです。
小菅ー
お前は社会では返事一つまともにできない糞野郎だ。
人のことどころか、自分のことすら大切にできない。
だから周囲も傷つけ自分もいつも傷だらけだ。
解決策はない。社会が悪いわけでも、お前が悪いわけでもないからだ。
つまりは、まるで魚を鳥籠で飼うみたいなものだから。
放てぇ!小菅、お前自身をだ!!不適合な場所でいつもスピスピくるしんでいるお前だ。
たまには自分を放ってやれ!ここは、お前の場所だ。
かもめチャンス/153話より
この話は感動しましたね。
小菅登場時から読んでほしいです。
更科以上に成長している小菅。
初めは完璧色物キャラクターだと思っていましたがかもめチャンスで1番血が沸いたのがこのシーンでした。
かもめチャンスのこのページはすげえ好き pic.twitter.com/HTBk43AEiq
— 肉欲 肉欲企画 (@b2949) August 3, 2014
ちなみにこのシーンも胸が熱くなりました。
まとめ
なにかどうしようもない鬱憤が溜まっている人にこそ読んでほしい漫画。
何かしらの答えが見つかるかもしれない漫画。
クライミングにハマっていなかったらロードバイクも良かったかもしれないと思わせてくれる漫画。
最高です。