漫画

【探偵は絵にならない】浜松市が舞台のソフトハードボイルド小説

気になって買った本。

【探偵は絵にならない】森晶麿

今回この本を読んでみようと思ったのは、小説の舞台が静岡県浜松市だからですね。

とはいえ僕は読書好きの活字中毒な人間でも浜松が大好きで地元愛が溢れる人間でもありません。

ただTwitterでこの本の存在を知った時に、アンテナに引っかかったというのか少し興味が湧きました。

この歳になるとアンテナが鈍くなるというか、行動力がなくなるというのか自分のできること得意なことしかしたくなくなるわけです。

だからか常日頃少しでもアンテナに反応があることはできる限り答えていきたいなと思っています。

幸い今はKindleという便利アプリで本なんてiPhone1つで購入・読書できる時代です。

重い腰を上げることなく、ベッドの上で目的は達成することができます。

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親子亀
親子亀
本には本のいいところがあるよね。

カメX
カメX
最近ですとあつまれどうぶつの森の攻略本がバカ売れしていると知り世の中何が当たるか本当に分かりません。

まずは簡単に感想を。

浜松の雰囲気がすごく伝わり土地勘のある僕はリアリティを感じる事ができ面白かった。

主人公が抱く浜松に対しての気持ちも共感できます。

ただ探偵小説、ミステリー小説としては少しうす味な印象。

個人的には人と人のつながりから道を切り開く人間賛歌のように感じました。

なので読了後も驚きというよりもすっきりという気持ちの方が大きかったですね。

もう少し詳しく掘り起こしていきましょう。以下ネタバレあり

探偵は絵にならない/あらすじ

若くして評価を受けるも、すでに失業気味の画家・濱松蒼(はままつ・あお)。同棲していたフオンも「あなたの匂い(アロマ)が消えた」と言い残して家を出て行ってしまう。フオンを追いかけ二人の出身地・浜松に戻った蒼は、腐れ縁の友人でありアロマテラピストの小吹蘭都(おぶき・らんと)の住居に転がり込み、当座の仕事とフオンの行方を探す。だが蒼に持ち込まれるのは奇妙な依頼ばかりで……浜松まつり直前の故郷で、蒼は大切なものを取りもどすことができるのか?

売れない画家が彼女に逃げられ、故郷の浜松に彼女を探しに行く。

帰ったはいいがお金がないと生活ができない。画家としての依頼は全て主人公の過去と関りがある人物であり、奇妙なものばかり。

一つ一つを解決しながら彼女の行方にも近づいていくといったお話。

浜松まつり直前ということで、まあゴールデンウイーク前の浜松が舞台ですね。

タイトルに探偵とあるのでミステリー要素は薄くどちらかというと人間賛歌であると僕は感じましたが、あとがきにはハードボイルド小説であると書かれています。

なるほどハードボイルドだったのか。

ハードボイルドといえばクールで非常でタフガイな主人公なイメージがあるが、この小説の主人公である濱松蒼は良くも悪くも平凡である。

ただあとがきの『どんな臆病者が主人公でも文体ひとつでハードボイルドにはなる。』というのには感銘を受けた。

物事への捉え方は見方1つで変わりますね。

なるほど、これはまごうことなきハードボイルド小説だ。

探偵は絵にならないの面白かったところ

①浜松市が舞台

やはり今も浜松に住んでいる身としては場所を想像しやすく面白かったです。

さわやか有玉店や鹿谷のあさくま、アクトシティにメイワンの谷島屋、三方原墓地など「あ~あそこね。」と読みながら思い浮かべたりするのは新鮮でした。

土地勘があると倍面白く感じますね。

浜松市が舞台の作品はあまりないので尚更です。(僕が知らないだけかもしれませんが)

漫画の『帯をギュッとね』は浜松市が舞台ですが、あんまり浜松色は強くなかったかな。

柔道漫画ですごく面白い作品ですよ。

②アロマの使い方が新鮮に感じた

この物語は匂い(アロマ)がキーワードになっています。

それ故に色々な匂いの描写が出てきます。

匂いなどを想像するのですがそれが僕には新鮮に思えました。

主人公が売れない画家、失踪した彼女が売れ始めたダンサーとありきたりな設定なのだが主人公の親友がアロマセラピストというのが面白いなと思う。

キャラ的にも個性があり、魅力的に感じました。

第二話『死と師と雨』

この話は全体を通して1番ミステリー色が強いなと個人的に思いました。

話的にも1番心に残っています。

あまり激しいネタバレはしたくないので細かく書くつもりはないですが、変にすべてを描写しない幕切れが気に入りました。

ハッピーエンドなのか微妙なのですが、読了後はすっきりとした気持ちになりましたし、そういうことかと思わせるミステリー要素もあり楽しめました。

探偵は絵にならないの不満点

①浜松市に縁がある人以外でも楽しめるのか?

僕含め浜松の土地勘がある意図はすごく楽しめると思いますがそれ以外の人はどうなんだろうという疑問が…。

正直浜松の地名・店名を必要以上にだしている気がします。

それは長所でもあり短所でもあるのではないのかなと思いました。

②遠州弁がしっくりこない

なんとなく遠州弁がしっくりこないように感じました。

誇張されている感じです。

このご時世こんな方言バリバリな人いないだろうと突っ込みたくなるようなそんな違和感がありました。

主人公が没個性

失踪した彼女や親友のアロマセラピスト、事件にかかわる人々はなかなか個性があったように思えます。

しかし肝心の主人公が僕にはハマらなかった。

ただただ斜に構えた感じだけが印象に残りあまり共感できなかった。

画家という個性が発揮されていないように感じました。

終わりに

森晶麿さんのことは今回初めて知りましたが、浜松に関係がなくてもまた機会があれば読んでみたいなと思わせてくれる作家さんでした。

文体が僕には読みやすく感じました。

この作者はシリーズ化もするらしいのでこの【探偵は絵にならない】がシリーズ化されたらとりあえず購入はするでしょう。

浜松の人には読んでほしい1冊です。